六甲山トレイルランニング道場

六甲山TRC流  山での正しい登り下りの走り方
 
トレイルランニングにはいろいろな身体への効果があります。
精神的なメリットや脳・神経伝達系の活性化はもちろんのこと、筋力トレーニングに絶大な効果があります。 
 
上り坂では、膝を高く上げる必要があるため、太もも部分が鍛えられ、足首も深くストレッチした状態から蹴り上げるのでふくらはぎの筋肉に負荷がかかります。
 
下り坂での着地時は普段使わない筋肉の動きをするため(専門的には、プライオメトリック・トレーニング、ネガティブトレーニングの効果といいます)、筋肉痛を引き起こしやすいですが、それだけ筋力トレーニングの効果が期待できます。
 
また不整地で片足だけでバランスをとる動作は、股関節やインナーマッスルを刺激するため、バランス能力を改善することができます。
走P1020530.JPG
 

【登り】 尻の筋肉でスッスッと登る。
 
   トレイルランニングの登りに対しては、「疲労が少なく済む」ことが大事です。
六甲全山縦走のタイムトライアルをしている時などは、登りで無理して走るよりも確実にスッスッと速く歩いた方が、安全にバランスが保持され脚に余計な疲労がたまらずに済むような場面があります。その方が結果的に速い時間にゴールできるからです。
 
コツとしては、お尻、ハムストリングなどの太腿後ろ側の筋肉を使った登り方になります。
お尻は骨盤を支え身体の軸「体幹」を安定させます。
ハムストリングスは下半身のパワーの源。
脚を伸ばす、曲げる役割があります。
 
足先は開かず平行にしたうえで、腰が落ちて背中が折れ曲がらないよう背筋を伸ばした状態に。そして体をやや前傾させ、スッスッと無理なく楽に地味に登っていくのです。 
 
疲労を身体に貯めず高度をどんどんあげていく。 
自分の身体を標高の高い場所にUFOキャッチャーで「ひょいひょい」と運んでいく感覚です。 
急斜面はジグザグに進んでキツイのを緩和するようにします。
 坂を上るP1020538(1).JPG
一般的に登山の場合は 斜面の勾配に対して足は外マタ気味に開き、足首を曲げやすくする。そして膝と足首のクッションを十分に効かせ一歩ごとに体を沈み込ませるようなイメージでステッキを使って登ります。 「よっこらしょ、どっこいしょ」 という感じになり ずっとこの調子だと疲労もジワジワたまります。
 
上り坂をスッスッと登れる筋力が身についてくると、自然と効率の良いフォームに洗練され、膝や腰などへの負担が大幅に軽くなってきます。加えて心肺機能も鍛錬されてきます。
 ウリさん 跳ぶchara_imig02.gif
熟練ハイカーも登り坂が早い人は、この動作が身についています。( 天狗道や菊水山では、トレイルランナーに追い越されるのが嫌な負けず嫌いなオッサンが必死で追いかけてくるんですよね・・・人それぞれの生き方があり、山でイイ気分でいれれば良いと思うんですが。 スッスッと登る姿が対抗心をかき立てるのかな・・・)
一般の登山者から見ると驚異的なスピードで走って登っているように見えるのかもしれません。
 
トレーニング方法としては、頻繁に山に通う、ランニングで坂道ダッシュする、ジムでレッグカール、ご家庭でスクワットが定番です。
 
 
山の走り方《下り編》
下りでの足の着地は、靴底「全体を地面につけますが、つま先から着地するイメージで足を出します。
 
靴底をふわりと静かに置くような感じで着地すると良いでしょう。
 
着地した片方の足に全荷重がかかったり、脚がつっぱっていると負担が大きく、膝や靭帯を痛める原因となります。
 
山で膝が痛くなるのは、登っているときよりも下っている時のほうが圧倒的に多いようです。
膝の関節がクッションの役割を果たし、衝撃を吸収してくれるのです
 くだりポーズP1020548(1).JPG
トレイルランニングでは、片足が着地したときには、荷重は全身でやわらかく分散する体勢に。「ふわり」「ひらり」 と柔らかい着地。
 
忍者気分です。
着地した瞬間に膝を曲げていくのです。時には足首と背中もしっかり曲げて、全身を使って体重を膝から逃してあげるのです。ダンスステップを踏むような感覚でリズミカルに下っていきましょう。
下り坂P1020546(1).JPG
 
ハードラーの為末大選手のインタビューで、なるほど!と思った言葉を紹介します。 
「ランニングに必要なトレーニングは、すべて着地のためのトレーニングなんです。
着地の瞬間に何かが起きて、体が運ばれて、空中で次の着地の準備をしている」
 
まさしくトレイルランニングは、この表現がピッタリ。

トレイルランに慣れた人が下りを驚異的な速さで下るのは、山の走りに慣れ状況判断力に優れているからと言えます。
なんといっても下るためのテクニックが身についており、膝を支える筋肉「大腿四頭筋」(膝の前面の筋肉)がしっかり鍛えられています。
練習に筋トレ(スクワットやレッグエクステンション)を取り入れるといいかも。
 
姿勢についてですが、基本リラックス。ロードを走るときは腕振りが大事なのですが、山の下りの場面では意識する必要がありません。
バランスをとることが大事なので、むしろ、だらりと肩の力を抜きましょう。
 
恐怖心から腰が引けていると、スリップしやすくなります。
逆にスピードがつきすぎたりしていると前のめりの姿勢になり、バランスを崩しやすく危険です。
下る時に気をつけなければならないのは、スピードのコントロールです。どうしても加速度がついてスピードが速くなりがちです。
 
    登山道の状況というのは決して一定ではありません。
  木の根や石などの障害物も至る所にあります。
 
下りでは、「次はここに着地しよう。もし着地した路面が滑ったときは、この木の枝をつかもう・・・」「この石に足を置いても大丈夫か?浮石で崩れた場合は体勢を立て直せるか?」
といった回避策や次の次までコースどりを考えつつ走るのです。
下るP1020544.JPG 
判断を誤るとアクシデントや怪我をする可能性もあります。
だから路面の状況、コースの前方の進路を見極めながら、無理のないスピードで下りることが大切です。
自分が止まりたいと思ったところで無理なく止まれるスピードたと解釈してください。
急ブレーキをかけるような止まり方では膝を痛めてしまいます。
 
下りの場合はスピードが出ている分早め早めの状況判断が必要となります。
蛇行しながら下れば、加速を抑えることができます。
 
 
余談 CWXのタイツで膝周りを保護するタイプがあります。
登り坂で脚を持ち上げる時にはストレッチがタイトに感じて、嫌な時があるのですが、下りでは効果絶大ですね。膝が安定しブレにくい感じなんです。

 

1ラン P1020559.JPG